本研究室では、量子コンピュータ関連基盤技術の開発、ナノ量子デバイス物理、量子情報エレクトロニクスの研究に取り組んでいます。国内外の研究機関と共同研究も推進しています。
社会のシステムが複雑になってきているため、従来のコンピュータでは解けない問題が増加しています。量子コンピュータが実現されれば、解決できると言われています。量子コンピュータは、大学で学ぶ「量子力学」の原理を使った全く新しいコンピュータです。
量子コンピュータの実用化には数十年以上かかると言われていました。しかし、近年、GoogleやNASA、IBM、Intel、Microsoftなどが研究開発に乗り出し、ある種の量子コンピュータは既に使われ始めています。研究開発を進めて性能を高めていくことで、医薬品の効率的な開発、生命現象の解明、医療画像処理、自動車渋滞の解消、宇宙物理のシミュレーション、投資判断、ロボティクス、人工知能への応用などができると期待されています。
従来のコンピュータは、0と1の2進数によるデジタル信号を用いていますが、量子コンピュータでは、0でもあり1でもある量子力学的な重ね合わせ状態を用います。0でもあり1でもある量子力学的な重ね合わせ状態を作り、その状態がノイズなどに乱されてしまう前に、必要なゲート操作を行うことができれば、量子コンピュータの候補となり得ます。超伝導体を用いる量子コンピュータの研究開発が進んでいますが、半導体を用いる量子コンピュータも多くの利点があり、注目されています。
本研究室では、半導体量子コンピュータに繋がる基盤技術という工学的な研究と、関連する物理の解明という基礎学術的な研究の両方を推進したいと思っています。