イメージから新たに生まれる作品の楽しさ |
2010年8月6日(金)
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記:鈴木専門指導員
8月3日、ホームページのイメージ写真をイラストに変更しました。
イラストは自分の思いを一枚の絵の中に込めます。作者と読者の感性の共鳴で、その作品の価値が決まります。 この作品は詩のサークルの会員に対して、感性を育むための課題でした。 今回は、イラストに寄せられた会員の作品から2点を選び掲載しました。それぞれの作者の捉え方の違いが面白いと思います。 イラスト提供 星菜
課題作品① 作者 : 緋石 理伊奈
此処から先は通せんぼ あなたは私の捉われの人 優しく絡む 銀の糸 此処から先へは いかないで 僕が柔らかに編まれた 銀の糸に凭(もた)れると 風が歌いながら そっと揺らすよ 通りゃんせ 通りゃんせ 脆い糸だよ 通りゃんせ 軽い傷みさ 通りゃんせ 私はあなたの捉われ人 あなたを優しく包む 銀の糸 優しく絡む 銀の糸 此処から先へは い・か・な・い・で
[一言]
作者は女性です。 イラストを描いた星菜さんと好みが良く似ていたことを覚えています。 イラストのイメージをご自身の恋愛体験と重ね、女性らしい気持ちを表現していると思います。 「通りゃんせ」という言葉をリズミカルに、そして少し幻想的に取り入れているところを評価します。
課題作品② 作者 : 白石 秋菜
孤独な貴女は 闇の森から連れ出して 光の園へ誘(いざな)ってくれる妖精を 来る日も 来る日も 捜し求めていた でも繕った心に妖精は惹かれなかった 疲れた心を閉じ 未来だけを探り 手当たり次第に触れたとしても 妖精は そんな貴女に惹かれない そこには悲しみが織り込まれていくだけ 光輝くのは 済んだ心の結晶だから 素直な目で 振り返ってごらん 光の粉が孤独を消して 森(ここ)は貴女の探していた光の薗になる
[一言]
この作者は第三者の目でイメージを捉えています。 銀の糸を使う女性が幸福を求める姿に見えることやアドバイスしている流れから、作者が男性であることに気がつくでしょう。 詩としての表現には物足りなさを感じますが、緋石さんの解釈と違う点で取り上げました。
今回掲載したイラストはイメージの沸きやすいイラストだったと思います。
皆さんも想像の海で、自分の心を休ませたり遊んだりしてみてください。 |