「ビデオ編集用パソコン」調査レポート |
2010年6月3日(木)
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記:鈴木専門指導員
パーソナルコンピューター(以下パソコン)の性能を左右するCPUの向上は留まることを知らず、1990年代後半から2004年まではクロック周波数のアップが加速度的に増加した。3GHz台に突入すると物理的限界かと思われたが、デュアルコア、トリプルコア、クアッドコアが次々と登場し、CPUの高性能化は留まることを知らない。
動画を扱う能力はパソコン進化に依存し、現在は十分にユーザーの要求に応えているかに見える。同時に、情報をコントロールする事がビジネスマンの条件の一つであるなら、誰でも簡単に操作できるツールが身近に溢れていることは非常に重要なことであり、今後は個々の情報発信の能力が仕事の成否を握っていると言っても過言ではない。
パソコンと一口に言っても、小消費電力に注力したモバイルパソコンから処理速度優先のスーパーコンピューターまで幅広くある。
今回の対象はビデオ編集から様々なグラフィック制作作業に耐えうる能力と安定性を持ったパソコン。現在はDVDが主流だが、DVビデオがハイビジョンビデオカメラにその座を譲っている現状を見れば、近い将来ハイビジョン編集は必須の条件となってくる。 更にビデオ編集基板の装着が可能である筐体。この3つ条件が必須である。
調査場所は秋葉原。メーカー製からパソコンショップのオリジナル製品まで幅広い情報がある。
最初に国内パソコンメーカーの老舗。数多くの製品を出し続けている富士通を調べた。
商品名はFMVCEG50。CPUはクアッドコア2.66Ghz。メモリ4GB。ビデオ編集機器としての性能は十分満たしている素晴らしいデスクトップパソコンである。価格は215,000円。
この他に必要とされるビデオ編集基板はカノープス社のVELXUS300(168,000円)。上位機種に500番台があるが価格が38万と非常に高価。今回はプロ仕様の必要はなく、300番台で十分実用である。合わせても40万円以内で完成する。
しかし問題点が2点あるため、NEC製を含めメーカー製品の利用は断念した。
1.コンパクトを求める一般ユーザーに応えるため、筐体の中に余裕が無い。編集基板の入る余裕が無く、仮に装着できたとしても熱で部品が破損する危険性がある。 2.この基板を使う前提で設計されていないため、電源容量にゆとりが無い。作業中にマシンがシャットダウンする可能性がある。
次にiPhone又はiPadで最近話題を集めているMac製品に目を向けた。静止画を扱うデザイン業界では主流となっているパソコンメーカーだが、映像関係ではハードウェアメーカーの参入も少なく、WEB系を離れると選択肢が激減。非常に難しいと判断した。
しかし、ユーザーに喜びを与えるメーカーとしての方向性は素晴らしい。写真にあるのは紛れも無くパソコンであり、小スペースを望むユーザーには願ってもない商品だと思う。
最後に調査したのはオーダーパソコンで有名なメーカーのソフマップ。コストパフォーマンスの良いCPU。ユーザーサイドに立ったオリジナルケース、将来性を考慮したグラフィックボード、電源など、各パーツメーカーが知恵を絞った製品を丁寧に一つ一つ紹介してくれた。
2年前では手に入らなかった高性能パソコンの価格はモニター別で15万円ほどだった。液晶モニターは21インチの物でも現在は3万円台と非常に安価だ。
各部品は部品メーカーが3年の保障を付けているため安心。特に電源は落雷時の対応を考慮してサージキャンセル回路が付いていると共に、アイドリング時の供給電力低下機能が付いている。電源もインテリジェントになったと感じた。
前述のパソコンに3Dグラフィック用の特設ボードと周辺機材を組み合わせると更に8万円ほど費用が掛かるが、ビデオ編集とグラフィックスの操作が使えるパソコンとしては、ベンチャー企業が提供している完成パソコンの半値程度で購入できる。
パソコンは購入時からどんどん古くなっていくもの。2~3年経てばハードを置き去りにするソフトが現れても不思議はない。ましてや動画編集であれば尚のこと。その時ゴミと化すかそれとも一部の変更で済むか、それはユーザーの判断。
一時期に全ての機能を必要としない場合は省き、必要に応じて機能強化する。ソフマップのオリジナルパソコンはその土台として非常にコストパフォーマンスの高い製品だと感じた。 |