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ITCクラブ室
ドッグセラピーから笑顔と躾を学ぶ

ドッグセラピーから笑顔と躾を学ぶ

2012年05月30日 記 : ITCクラブ専門指導員 鈴木 朗

私はドッグセラピーに興味を持ちましたが、知っている事は人から聞いた一片の知識にしかすぎません。犬のことを何も知らない私は、その現場を見たいと思っていました。今回、ボランティア活動をされている「ドッグカフェ むつみ」のオーナーのご好意により、ドッグセラピーに参加させていただきました。私の感じたことを御報告いたします。

※写真掲載は富山さんと特別養護老人ホーム千束の許可を頂きました。

  • 日時
    : 平成24年5月23日(水)10:30~11:30
  • 場所
    : 東京都台東区立特別養護老人ホーム千束
  • ボランティア
    : 「ドッグカフェ むつみ」のオーナー 富山麻里(文中は富山さんとさせて頂きました)

富山さんはドックセラピーの活動をされています。各施設を順番に訪問しているため、同じ所に行くのは約2ヶ月に1回になるそうです。 参加者にとっては久しぶりのご対面となり、18名の方が弧を描くように集まりました。

プログラムはご挨拶と犬の紹介から始まりました。連れて来た犬の名前は左からマスク、そら、ももの3匹です。

台が二つ用意されました。犬は待機している時、ここで静かに待っていなければなりません。ももは雰囲気に慣れていないため、何度も台から降りてしまいました。 台の上で静かに待っていないとプログラムは止まります。富山さんは、その都度、犬を台の上に戻していました。ルールから外れた時はその場で必ず修正し、例外は作らないようにしていました。

▲ ご挨拶と犬の紹介をしている富山さん

最初のプログラムはキャッチボールです。投げたボールを犬がくわえて届けるゲームです。ボールを投げる時には、皆で大きな声で名前を呼んでから投げます。積極的に参加される人から、とまどって遠慮される人までいました。遠慮されている方も、楽しそうにふれあっている人を見ると自分もやりたくなったのでしょう。一巡して全員楽しむことができました。

▲ 犬の名前を呼んでボールを投げる参加者

次はドリンクタイムです。富山さんが用意されて来たのは山羊のミルクでした。栄養価が高く、吸収が良いと説明していました。参加者は交代で飲ませてあげ、口を拭いてあげました。近くにいた方が、昔、子どもの口を拭いてあげた事を思い出したと言っていました。お世話をすることで、思い出がよみがえるきっかけになったようでした。

▲ ミルクを丁寧に飲ませているおばあちゃん

次のプログラムは"ふれあい"です。皆さんは交代で小型犬を膝に乗せて背中をなぜました。犬はおとなしく、躾がしっかりされていることが伺えました。職員の方は皆さんの性格を知っているので、遠慮がちな方を上手にリードしていました。なかなか手放そうとしない方もいて、全員が終わるまで一番時間が掛かったプログラムでした。稀に犬の嫌がることをしてしまう方がいるので、注意しなければならないと教えてもらいましたが、皆さんの接し方はとても優しかったと思います。

▲ しっかり抱きしめてなかなか放さない方もいました

感想

約一時間、全員で声を出して体で感じて、とても良い体験だったと思います。

今回参加した犬の生い立ちを聞くと、悲しい体験を持った犬ばかりでした。富山さんはそんな彼等を引き取り育てています。この"ふれあい"は犬にとっても幸せな一時だったのではないでしょうか。一歩間違えればこの世にいなかったかもしれない犬が、こんなに人に喜ばれている光景を見ると、とても心が温かくなりました。

富山さんはその子に合わせて様子を見ながら躾をしたそうです。「個性を知らなければ躾は出来ない」と聞き、自分に照らし合わせて考えてしまいました。

可愛い犬と芸達者の犬、それだけでも十分に心なごむ光景でした。それを更に楽しい雰囲気にされたのは、終始、笑顔を絶やさない富山さんの場の作り方だと思いました。参加者の方の名前を全員覚えて実名で呼ぶ事も大切だと伺いました。ちょっとした事ですが、相手の立場になって考える事は情報を扱う上でも同じだと思いました。

重たいテーブルを二つ持ち、更に犬を3匹連れての道中は大変だったでしょうと伺うと、 「犬と一緒に笑顔を作りたいから慣れました」と、笑顔で答えてくれました。その笑顔に人と動物達への深い愛情を感じました。

以上